国内外IT企業を渡り歩く中で見えたビジョン。頑張っている人が輝ける社会のため

 

白井 圭太

Shirai Keita
メディアエンジン株式会社 執行役員
 
Profile
サイバーエージェント、Twitter Japan、DeNAを経て2019年メディアエンジン株式会社に参画。コンテンツマーケティング事業統括を経て、2020年執行役員就任。
現在は主にコンテンツマーケティングおよび動画事業の管掌、推進を担う。
オウンドメディアの構築支援や記事制作・メディアのコンサルティング支援を行う、ソウルドアウトグループのメディアエンジンで執行役員を務める白井さん。インターネット広告代理店、外資系ソーシャルメディア運営会社と国内外のIT企業で成果を挙げながら、自身での起業と悩んで選択したのは、メディアエンジン。参画を決めた想い、そしてグループ入りを経て現在描いているビジョンとは。
 
 

IT業界は“天職”。第二新卒で飛び込んで以来、スキルを積み重ねてきた

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同世代と比べると、私はキャリアチェンジが多い方です。しかしその過程を経て、よりチャレンジできる環境、自分の想いに近い環境がクリアになってきました。元々、中学生くらいから漠然と「ビッグになりたい」と考えていましたが、上京して新卒入社した専門商社は典型的な年功序列。新卒は議事録と鞄持ち、役職者になるのは40代以降という環境が合わず、1年で退職を決めました。
 
第二新卒で飛び込んだのがIT業界です。同年代が若いうちから活躍しているイメージがあり、スマホアプリに特化した広告代理店のグループ会社に入社しました。新しい業界での仕事はものすごく自分にフィットした感覚があり、のめり込みましたね。競合は有名なインターネット広告代理店という中、まだ若造の自分を信頼して発注してもらえることにやりがいを感じ、ここで、デジタルマーケティングやインターネット広告の基礎を身に付けました。
 
そんな仕事ぶりを評価され、同業である大手インターネット広告代理店に声をかけられて転職。やはり有名企業ということもあり、社員のセールスレベルは高く、エグゼクティブが集うチームで揉まれながらも、2年目には、有名ゲームアプリの営業を担当させてもらいました。お客様のニーズを考えて、オンライン・オフライン問わない企画やプランニングを行うなど、インターネット広告の枠を超えた提案ができたのは面白かったです。ここで幅広い経験を積ませてもらいました。
 
その後、世界的に有名なソーシャルメディアの運営会社へ転職し、広告主や代理店向けに、自社商品の提案などを行いました。転職は全てその時々の自分自身の興味や、伸ばしたいと思うスキルの方向性を大切にしてきた結果であり、転職という形で新たなフィールドで挑戦を続けてきたのです。
 
自ら起業することへの憧れもありましたが、企業への就職という選択を続けてきたのは、組織で働くことへのこだわりがあったから。仲間と共に成長しながら、一緒に何かを成し遂げたいという想いをずっと持ちつづけています。
 

2ヶ月先が見えないベンチャーへ。想いが報われる社会のために

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ソーシャルメディアの企業を辞める際、新しいキャリアを考えたときに浮かんだのが、オウンドメディアという選択肢でした。偶然ではありましたが、振り返ってみると、私はペイドメディア(広告料を支払い掲載するメディア)と、アーンドメディア(第三者が運営するブログやSNSなど、消費者の信頼を獲得するメディア)に携わってきました。オウンドメディア(企業が自社で運営するメディア)という領域でも力を付けられれば、メディアを総合的に語ることができる人材になれると考えたんです。
そんな中で出会ったのがメディアエンジンでした。事業そのものにも興味がありましたが、決め手となったのは、代表である室谷さん(取材当時)との会話です。
 
室谷さんは、「世の中に起業家を輩出していきたい」というビジョンを持っていると話してくれました。実は私も、頑張っている人が報われるような社会にしたいという想いがあり、すごく共感する部分があったんです。マズローの欲求5段階説でいう「自己超越」のような利他の考え方を大事にしており、そういう人が増えていくと日本が変わっていくのではないかと、とても話が盛り上がったのを覚えています。
 
そして面談の終わりには、会社が二期目に入り伸び悩んでいることを本音で話してくれました。その上で、メディアについての知見を持ち、セールス経験もあった私のスキルを認めてくれて、「必要だからジョインしてほしい」とストレートに伝えてくれました。
 
当時、事業がうまくいっていないことや、尚且つスタートアップで先行きが不透明でリスクがある点など。包み隠すこともできると思うのですが、かなり腹を割って話してもらいました。代表の率直さ、そして未来を見据えて真剣になっていることに強く惹かれたんです。
 
そして私自身、2社目のときに20名から70名になり、また20名に減った変遷を身近に見ていながら、山積する組織課題に対し、なんとなく周りの愚痴を聞くだけで過ごしてしまった過去がありました。その時、「あのとき何か行動を起こせば変わったのかもしれない」という後悔と、「窮地にある会社を救いたい」という気持ちが湧き起こってきたのです。そこでもう一度スタートアップ企業で挑戦し、V字回復を目指そうと決めました。
 
当時、水面下ではソウルドアウトグループ入りの話がありましたが、そのボトルネックにもなっていたのが足元の赤字でした。まずは赤字を減らすというミッションの元、自ら起業するのではなくメディアエンジンへの入社を決めました。
 

単月黒字とソウルドアウトグループ入り。次のフェーズへ

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メディアエンジンに入社してからは、数字に貢献するだけでなく、とにかく足元のテコ入れに尽力しました。
 
これまで、組織のネガティブな状態も経験したことがあったので、その状態から成長するためには売上を伸ばすだけでなく、組織内の歪みを調整する必要があると思ったのです。
 
当時はPL管理やセールスの読み管理など、改善の余地が多々ある状況でした。売上のトップラインを上げながらの基盤づくり、コストカットを続けた結果、無事半年間で単月黒字化を達成。次第に会社の業績は伸び始めました。
そして晴れて2019年に、ソウルドアウト株式会社の連結子会社となることができました。その影響は非常に大きく、組織の雰囲気は各段に良くなり、自分達も進化している手応えを感じられるようになりました。
 
グループ入りしてからは、ソウルドアウトの協力も得て、事業のフェーズを変えていくことに注力しています。現在では従来から行っていたクライアント向けのコンテンツマーケティング事業に加え、大手出版社様との共同メディアを展開しています。
 
 

ユーザーに響くコンテンツを創るために

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世の中の流れとしても、コロナ禍の影響で広告以外の集客チャネルを作りたいというニーズや、プライバシー保護の観点からクッキー制限など個人情報の扱いが厳しくなっていること、またBtoBを中心に営業・マーケティングの生産性を上げて行く必要性もあり、私たちが主戦場としているオウンドメディアのニーズは非常に高まっています。
オウンドメディアで重要なのは、ユーザーファーストで設計すること。もちろん、メディアの核となるコンテンツの内容もユーザーファーストでなくては意味がありません。
 
現在、私はセールスとメディア、アライアンス周りを管掌しています。実際の記事制作は優秀な制作チームで行い、日々コンテンツのブラッシュアップを行います。
 
メディアエンジンの強みは、単純に記事を納品するだけではなく、マーケティングの視点を入れた制作ができることです。また、ソウルドアウトとの連携で更に上流からのメディア設計やマーケティング課題の解決に向けた提案が可能です。お客様の業種は幅広いのですが、専門的な領域についても執筆できるプロフェッショナルなライターをアサインすることが可能なため、お客様が驚いてくださるほど、深い内容の記事を制作できています。
 
メディアが複雑化する中で、お客様が抱えている課題は“どのようにユーザーにメッセージを伝えるべきか”ということです。我々が提供するコンテンツマーケティングは、広告という一方的なプロモーションではなく、ユーザーのニーズや悩みを捉えて、お客様とユーザーをコミュニケーションで繋ぐもの。その結果、ユーザーに響くコンテンツを創ることができるのです。
 
 

クリエイターにとっての“縁の下の力持ち”に

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今後は、私自身のビジョンである「頑張っている人が輝ける社会」につなげていくという意味でも、自社で取引のあるライターさんやデザイナーさんなど、クリエイターの方の活躍を後押しするようなプラットフォームを作りたいと考えています。
今は、お仕事を断片的に依頼しているだけですが、もっともっと多くの支援ができるようなマッチングの仕組みを作りたい。個々のエンパワーメントを応援したい気持ちが強いです。
 
クリエイターの方だけではなくお客様も同じです。良い商品やサービスを作っている人、会社がより世の中に届けられるような支援をしたい。私自身はあくまで縁の下の力持ちタイプなので、掲げるビジョンに向けて人のために仕事ができるのがモチベーションです。
 
メディアエンジンは、40人規模という小さい会社です。でもだからこそ、スタートアップ的に皆で力を合わせて価値を創っていくという空気感で仕事ができるのは、今のメディアエンジンの醍醐味だと思っています。
 
また、今後は積極的にアライアンスを強化し、共創するパートナーを増やしていくことで『メディア』といえばメディアエンジンといわれるくらいに、会社の成長に負けず自分自身も成長していきたいです。そのためには、チャレンジを恐れず検証サイクルをどんどん回していきたいですし、社員一人ひとりが仕事を通じて成長できるような環境をどんどん創っていきたいと思います。
 
メディアエンジンのミッションでもある『想いが実を結ぶ社会を創る。』を少しでも形にしていくために我々のケイパビリティを活かしてクリエイター・企業・読者にとって魅力的なコンテンツを発信していきたい。それが今の私のビジョンです。