Business Strategy

個人が有機的に結合する組織を作り、
withコロナ時代に
メディアを通して勝機を掴む

室谷東吾

Togo Muroya

メディアエンジン株式会社 メディアカンパニー
カンパニープレジデント

代表取締役会長CGOの荻原猛がインタビューしています!

1.自己紹介をしてください

ITのおもしろさに夢中になり、大手通信会社の営業からITベンチャーへ

荻原

それではまず、室谷さんの役職と仕事内容を教えてください。

室谷

メディアエンジン社(以下、ME)の代表取締役社長を務めており、会社の事業全体を統括しています。MEの展開するサービスは、企業のオウンドメディア(※)の構築から運営までの支援をする「コンテンツマーケティング事業」と、メディアの運営支援を行う「メディア事業」の大きく二つです。

※オウンドメディア:自社で保有するメディア。ユーザーや消費者に向け、独自の情報を発信するWebサイトのこと。

荻原

ここに至るまでのキャリアについて教えてください。

室谷

幼い頃から中学生までは野球一筋で、ITに触れたことなんて全くありませんでした。ですが、高校生になって初めて携帯電話を買ってもらいまして。自分でWebサイトを作ってみると、年間300~400万円くらい稼げたんです。それで、ITとマーケティングのおもしろさに目覚めたんです。

荻原

素晴らしい行動力ですね。そのあとはどのような経歴を辿られたのでしょうか?

室谷

新卒でKDDI社に入社しました。「新規事業をバリバリやりたい」と意気込んでいたのですが、営業に配属されまして。2年間頑張って、それなりの成績は残せたんですが、「将来はITに関わりたい」と思っていたこと、また、「起業したい」とも考えていたこともあり、DeNA社に転職しました。

荻原

そうなんですね。いざ転職してみてどうでしたか?

室谷

入社当初、事業部には15人くらいしかいなくて、フレームワークも何もなく「ご自由にどうぞ」という環境だったんです(笑)。毎日が驚きの連続でしたね。皆と試行錯誤しながら仕事を進めていました。

荻原

そこから事業が育ち大きくなっていったんですね。

室谷

入社から2年ほどが経ち、最終的には200人くらいの規模に成長しました。その頃の私は次の仕事を考えており、「転職したとしても、DeNA社での経験以上のものは得られない」と思い至ったんですよね。それで26歳のとき、当時のDeNA社の仲間と起業しました。

荻原

なかなか得られない経験をとても若いときにされたんですね。

室谷

そうですね。今年で30歳になり、起業して3年が過ぎましたね。ソウルドアウトにはご縁があり、2019年からご一緒させてもらっています。

2.現在統括している事業内容を教えてください

経験と知識が豊富な専門チームと事業を推進

荻原

MEの属する「コンテンツマーケティング市場」は、どのくらいの市場規模がありますか?

室谷

「コンテンツマーケティング」と一口に言っても、SEO(※1)やアフィリエイト(※2)、SNSなど、様々なマーケティングが合わさった手法なので、どのようにセグメントするかによって変わります。SEOに限定すると、およそ500億円の市場規模だと言われています。アフィリエイトであれば3,000億円くらいの市場規模ですね。

※1 SEO(Search Engine Optimization):検索エンジン最適化。検索エンジンからサイトに訪れる人を増やすこと。

※2 アフィリエイト:成果報酬型の広告。第三者に商品の宣伝や販促をしてもらい、実際に販売につながった場合に、そのきっかけとなった紹介に対して報酬を支払う仕組み。

荻原

市場は今後も伸びると考えていますか?

室谷

現状は緩やかに伸びていますが、徐々に縮小していくと予想しています。「検索」という行動をするユーザー数が少なくなってきていると思うんですよね。「タグる」という言葉が出てきたり、InstagramからUberEatsを頼んだり。何かを探したいとき、Yahoo!やGoogleなどの検索エンジンを使うのではなく、SNSを使って調べるようになってきています。コンテンツの形式も、テキストコンテンツから、動画やボイスコンテンツなど様々なフォーマットに変わっていくはずです。

荻原

確かに、5Gの普及も追い風となり、動画コンテンツの利用がかなり広まってきていますね。「メディア事業」では、どういったお客様を支援しているのですか?

室谷

購入してほしい商品・サービスがある企業が、メインのお客様ですね。コンテンツマーケティングにはいくつか目的があり、例えば、新聞やテレビなどを専門にしているマス広告代理店などの場合、ユーザーとの顧客エンゲージ(※)形成のためにメディアを作ることが多いんですよね。一方僕らは、購入してほしい商品・サービスが存在し、マス広告やWeb広告など広告費を支払って掲載する従来型の広告だけだとこれ以上効果が見込めないお客様や、消費型の広告ではなく資産型の広告展開を検討されているお客様をご支援させていただいております。最近では、無形商材を持つお客様も増えてきています。

※顧客エンゲージ:商品やサービスを提供する企業と顧客との間の信頼関係。顧客エンゲージメントの形成は優良顧客を増やすことに繋がり、企業の売り上げや収益をアップさせることにも繋がる。

荻原

会社の強みを教えてください。

室谷

大きく分けて二点あると思っています。一点目は、戦略設計からコンテンツ制作、メディアの収益化、効果測定までを一気通貫でご支援できる体制があること。コンテンツマーケティングの会社は星の数ほどあるんですが、実はバリューチェーンを統合してサービスを展開できる会社は少ないんですよね。一方MEは、メディアの立ち上げから拡大、収益化までの経験があるメンバーが多く、戦略設計からコンテンツ制作、その後の収益化までを一貫して担うことができます。メディアの立ち上げに関しては「すべてお任せしたい」と思っている企業様がほとんどなので、これは喜んでいただいているポイントの一つですね。

荻原

では、二点目の強みは何でしょうか?

室谷

二点目は、コンテンツマーケティングに役立つツールを自社開発していること。MEでは2,000人のクリエイター(ライターや編集者、監修者など)をネットワークしています。単にネットワークするだけではなく、クリエイターの皆様がより良いコンテンツを統計的に制作できるよう、ツールを提供しています。

3.どんなマネジメントで、どんな組織を作っているのか教えてください

個人が有機的に結合することで、組織の力を最大化させたい

荻原

室谷さんは、メンバーを褒めて育てるタイプですか?叱って育てるタイプですか?

室谷

基本的に称賛したいと思っています。ただ、会社のポリシーとして、良いことは良い、悪いことは悪いとはっきり言うようにしています。良いことがあると、皆で「よっ!」って言って拍手して称賛しますし、反対に、失敗があってストレートに言わなければいけないときには、注意しますね。シンプルに、道理に反することをしたときには、すごく怒ります。

荻原

大事ですよね。では、MEはトップダウンでしょうか?ボトムアップでしょうか?

室谷

近年では「ティール組織」と呼ばれる組織スタイルも注目されていますよね。トップ、ボトムという概念がなく、メンバーそれぞれが有機的に結合し(※)、会社の目的を達成していく組織です。弊社は他社と比較しても非常にフラットな組織だと思っています。「誰が言うか」よりも「何を言うか」を大切にしていたり、「良質な喧嘩」を推奨しています。逆に他社からの評価を得るために、非本質的な行動をしていたり、自分自身がどうしたいか?の答えを持っておらず、他人にすぐに答えを聞くような仕事の進め方をすると、めちゃくちゃ怒られます。
現在はジュニアメンバーが多いこともあって、意図せずトップダウンのスタイルになっていると思いますが、会社や事業の未来をもっと長い時間軸で見通し、実行できるメンバーが増えてくれば、おのずと自立走行できる組織になってくるのではないかと思っています。

※有機的(組織):緩やかで、しがらみも少なく自由な雰囲気。明文化された規則が少なく、あっても拘束力は弱い。

荻原

そうなんですね。では、MEでの仕事の進め方はチームワークですか?それとも個人主義ですか?

室谷

業務内容とビジネスモデルにかなり依存します。営業だとチームワークを発揮するケースが多いですが、記事制作のディレクションを行う部隊だと、個人で進める仕事が多いですね。ただ、MEは、数千人の業務委託や副業で働くメンバーとともに事業を推進している会社です。そのため、密なコミュニケーションを取りながら仕事をするケースが多いですね。

荻原

室谷さん自身は、どちらの働き方が好きですか?

室谷

チームワークですね。チームワークという言葉が広義ですが、個人の専門性や卓越性を掛け算して、本来個人では実現できないことを実現できる力を集団的に獲得する、という観点では、チームワークを発揮できる組織は強いと思います。

荻原

MEにはどのような人が多いですか?

室谷

皆、ハードワーカーですね(笑)。仕事が好きで、仕事で成果を出すことが大好き。「自分の自己実現のために、会社をどう活用するか」と考える人が多いです。小さい会社なので、大手企業のように「会社にしがみつく」という概念を持った人は少ないと思います。

荻原

確かに、この間お話ししたとき皆さん目がキラキラしていましたね。

室谷

ありがとうございます。あとは、かなり本質的で直球で物事を言う人が多いです。「良質な喧嘩をたくさんしよう」とよく言っていて。腹落ちしていないのに、納得したふりをして、あとで成果が出なかったときに「やっぱり違うと思っていた」と言うのは絶対に止めよう、と。なので、役職関係なく、納得できるまでその場で直球で議論をします。「正しいことを正しくやろう」という文化が強いですね。

荻原

私も、そういった文化はすごい好きですね。社員にはどのようなことを期待していますか?

室谷

もともと、MEに長く所属することを推奨していません。「MEを自己実現のフィールドに使ってほしい」と言っているんです。「短距離走でひたすら走って、やり切ったら次のフィールドに移る」という場にしてほしいと思っています。会社にしがみつくとか、上司からの評価を気にする会社ではないので、自分のやりたいことを、MEを使ってどんどん挑戦してもらいたいですね。

4.責任者から見る、MEの社風を教えてください

共通の価値観・ルールと目的を持つ組織

荻原

MEを立ち上げてからのエピソードを教えてください。

室谷

立ち上げて1年くらいが経ったとき、すごく業績が伸びていたんです。それで「人を採用すれば会社は伸びる」と思って、人をどんどん採用していたら、組織崩壊が起きてしまって。あまり企業文化を意識せず、即戦力になりそうな人や、考え方はやや利己的でも「起業したい」という気持ちのある人を採用していました。そうしていると、組織が目指したい方向と社員の「will(個人の目標、やりたいこと)」がずれてきてしまい、恐ろしいスピードで業績が悪化したんです。あと半年でキャッシュが尽きてしまう、というところまでいきました。

荻原

スタートアップあるあるですね。想像するだけで怖いです。

室谷

毎週月曜日は起きるのがすごく怖くて、「このままつぶれてしまうのか」といつも頭を悩ませていました。でも、ずるずると同じことを続けていても上手くいかないので、会社の実態を、全メンバーに正直に伝えました。それから全社員一人ひとりと腹を割って話をして、会社に残りたい意思があるかどうかを聞き「もし会社のDNAと合わないと思うなら、申し訳ないけど辞めて欲しい。」と伝えたんです。

荻原

勇気ある決断でしたね。そこからどのように変化したんでしょうか?

室谷

残ってくれたメンバーと、「何のために集まり、働くのか、何を目指すのか?」という経営理念を作り直して今に至ります。僕がギリギリの状態のときに「お金が底を尽きたとしても、一緒に仕事がしたいと思って入社した。だから残るよ」と言ってくれたメンバーがいたことは、本当に嬉しかったですね。

荻原

共通のルールや価値観と目的をもって事業を進めていくことが重要ですよね。ではどんなときに、成長の実感を得ますか?

室谷

二つあって、一つは自分の思考域を超えたときですね。人間って、自分の脳に記録された情報を演算処理してアウトプットします。つまり、良質な情報や、これまで全く知り得なかった非対称性の高い情報を取り入れなければ、質の高い意思決定をすることは難しいと思っています。なので、何か新しい事業を始めたいと思ったら、まず、その道の第一人者に話を聞きに行くことが重要だと思います。自分の持っている思考域を外れたところにある情報を取りに行けば、より良い成果を速く出せると思うんですよね。そういった行動のできる人は、成長スピードが速いと思います。

荻原

おもしろいですね。二つ目は何でしょうか?

室谷

「過去の成功体験をいかに早く捨てられるか」が肝になってくると思います。実は僕、一社目の起業は失敗しているんです。資金がショートしてしまって。原因は、DeNA社で経験した成功事例をそのまま踏襲したこと。失敗して、環境も文化も違う中で同じことを踏襲しても成功しないんだと実感しましたね。

荻原

そうですね。環境が違えば、結果も異なってきますね。

室谷

はい。特に今は外部環境がものすごいスピードで変わっているので、専門スキルはもはや永続的ではないと考えています。過去の成功体験や価値観を押し付けるのではなく、不確実性の高い環境に対して、どれだけ柔軟に適応できるか。こういったスキルがすごく大事だと思っています。

荻原

では、会社の良いところを教えてください。

室谷

先ほど言ったことと重なりますが、物事を本質的に考える人が多いところですね。例えばMEでは、今回のコロナの影響で在宅勤務が推奨になるよりもかなり早い段階から、完全にリモートワークに移行しました。一方で、いろんな経営者に状況を聞くと、「仕事をさぼる社員が出てくるから、リモートワークは導入したくない」と言っている方が多かったんです。でも僕は、MEには仕事を怠るような社員はいないと思ったんですよね。皆「正しいことを正しくやろう」という考えなので。性善説を前提にこういった施策を導入できるのは、良いところだと思います。

荻原

では、改善点は何でしょうか?

室谷

組織の中軸層をもっと厚くしたいと思っています。会社の未来を長い時間軸で捉え、意思決定できるメンバーですね。この構造が変わらない限り、やはりトップダウン的意思決定をせざるを得ないと思います。近い将来、今の社員の中から経営や事業そのものを任せられるメンバーを育成し、登用していきたいと思っています。

5.責任者としてのやりがいと、今後挑戦してみたいことを教えてください

オンラインを前提とした経済で、メディアを通して勝機を見出す

荻原

今後も事業を成長させるための打ち手はどう考えていますか?

室谷

アライアンス(※)を結び協働していくメディアの種類をどれだけ拡張し、他の分野や領域へ水平展開できるかが、今後のポイントだと考えています。

※アライアンス:連合、同盟といった意味で、複数の企業(本文では、メディア)がそれぞれ経済的なメリットを得るための提携のこと。

荻原

今後挑戦したいことは何でしょうか?

室谷

コロナの影響で、世界は強制的にDX(※1)せざるを得ない状況になっています。そんな中では、企業はオンライン経済を前提とした事業に再構築できなければ、生き残りが難しい。また、Web業界では、サードパーティークッキー(※2)の規制に伴い、広告手法そのものが見直される動きもある。以上のような状況から今後、オウンドメディアを活用したDXは急速に進むはずです。現在展開しているサービスを単なるリードジェネレーション(見込み顧客の獲得)としての手法に留めるのではなく、バリューチェーンの下流まで支援領域を拡大することで、オウンドメディアやコンテンツを活用したDXソリューションをお客様に提供していきたいと考えています。

※1 DX:デジタルトランスフォーメーション。AIや5Gなどのデジタル技術を活かして商品やビジネスモデル、業務をより便利に、かつ競争に勝てるようにしていくこと。

※2 サードパーティークッキー:「クッキー」とはブラウザがもっている機能で、Webページなどで情報をブラウザに保存するための仕組み。「ファーストパーティ―クッキー」は、クッキーが発行されたドメインでしか使わない。「サードパーティークッキー」は、ドメインをまたいでブラウザ側に保存された情報を活用する。

荻原

良いですね!楽しみです。他にもありますか?

室谷

クリエイターさんの価値が正しく評価されるプラットフォーム(※)を作りたいと思っています。現在のクラウドソーシングは、時間に対する報酬設計が最大化する仕組みになっています。そうなると、どうしても短期間で制作した低品質なコンテンツを大量に納品せざるを得ません。クリエイターさんが本来やるべきでないことはシステムで代替して時間を生み出し、クリエイターさんが持っている感情や経験、思想が最大限コンテンツに反映されるようなプラットフォームの提供を目指します。

※プラットフォーム:システムやサービスの土台や基盤となる環境のこと。

Message

最後に、就活生へアドバイスを!

何事もポジティブに捉えるようにするといいと思います!たとえば今のコロナ禍においては、これだけ混沌とした時代に就活をする学生さんってなかなかいないと思うので、自分の自慢になるエピソードにすればいいかなと(笑)。置かれた環境に対して不満を嘆いても仕方がないので、考え方を変えることが大事だと思いますね。あと、会社は自分の自己実現をするための場所であって、しがみつく場所ではありません。「使い倒してやる」くらいの前のめりな気持ちで就活をしてほしいです!

RECRUITMENT 2O21