Business Story
02
Shohei Tsuda
Kobo Horikawa
Sayaka Nakamoto
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データインテグレーション本部
データコンサルティンググループ
スペシャリスト
中元 さやか -
取締役COO
堀川 工望 -
グループ執行役員
津田 翔平
点在していたデータを一本化して、経営を見える化する。
中小企業におけるDXのあり方とは?
2021年の4月にソウルドアウトグループがカンパニー制に移行して誕生したDXカンパニーのアンドデジタル株式会社。社内に点在していた顧客管理データや商品売上データを結合して可視化するダッシュボード「カシカ」により、地方の中小・ベンチャー企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。「カシカ」(※)誕生の経緯から、中小企業の抱える課題、データ経営の利点などについて伺いました。
※カシカ:専門コンサルタントのノウハウを体系化したデータ結合・分析ダッシュボードサービス(https://anddigital.co.jp/service/data-integration/)
※所属・役職は2023年2月時点のものとなります。
Story 01
中小・ベンチャー企業が抱える多くの課題は、データを活用することで解決される
──中小企業の支援において、DXカンパニーではどのような問題を抱えていたのでしょうか?
津田主に2つの問題がありました。1つ目は、我々の広告で獲得したユーザーが本当にお客様の売上につながっているのかどうかという問題。例えば、初回限定のトライアルセットを購入するユーザー向けに配信した広告で100人集めたとします。しかし、その中からどれだけのユーザーがお客様の売上に直結しているのかは、弊社とお客様の持つデータを照合しなければ見えてきません。2つ目は、広告を出稿してからのレポート作成に多大な時間を割いていたことです。そこで、業務の生産性を向上させるために、Googleデータポータル(※1)のダッシュボード(※2)を構築することに決めました。
(※1)データを自動でグラフや表などに可視化し、情報をまとめることができる無料のBI(ビジネスインテリジェンス)ツール
(※2)ビジネスに必要なさまざまなデータを一つの画面に集約したツール
堀川当初は、広告のレポート作成をすべてダッシュボード上で行い、社内の生産性向上につなげるという取り組みでしたが、ちょうど世の中的にも「DX」という言葉が注目されはじめ、自社だけでなく、お客様が持つ営業やマーケティング、経営関連のデータをお預かりして可視化することで、新しいバリューを生み出す事業になるのではないか。そういった構想から生まれたのが、あらゆるデータを結合して可視化する「カシカ」というサービスです。
※所属・役職は2023年2月時点のものとなります。
カシカの画面
──データを活用した中小企業支援を行うにあたって、苦労した点を教えてください。
津田多くの中小・ベンチャー企業が抱える課題は、ほとんどがデータの不足に起因するものです。例えば受注率を上げようと思っても、商談の具体的な数であったり、商談相手のデータがないので、改善するための意思決定ができないといったケースはよく見られます。最大の課題は多くのお客様が、そのデータ不足という問題に気づいていないことです。そこで我々がやるべきことは、まずはマーケティング・セールスに関するさまざまな情報をデータ化することです。単一のデータだけでは正しい意思決定ができないので、横断したデータの「見える化」という第一歩が必要です。
そのためのサービスが「カシカ」ですが、私たちは単にダッシュボードを販売しているだけではありません。お客様の経営に必要なデータを要件定義して、散らばっているデータを収集し、意思決定しやすいように見える化をする。その一連のプロセスすべてを安価なツールをカシカとしてパッケージ化して提供しています。そこが大手企業とソウルドアウトグループの異なる点です。
──単にツールを売って終わりではなく、課題を発見して具体的な解決までのプロセスを提供する。それにより、お客様の成長も促す面があるんですね。
津田単にカシカを導入しただけ、データ化しただけでは具体的な意思決定ができません。課題解決のためにはどのデータを参照すればいいのか、またそのデータをどのように取得するのか。そのプロセスを通じて見える化を推進する。それが我々の提供するバリューです。
Story 02
「GA4(Google Analytics 4)」の登場により、データ経営の時代に
──これまでにカシカを導入して成功したお客様の事例を教えてください。
堀川以前、多品目の商品を扱うECサイトの年末商戦をご支援したことがあります。そのお客様はもともと大量のデータを保持していましたが、それらの活用ができていませんでした。
そこでカシカを導入いただき、実際の購入データと広告の成果のデータをつなぎ合わせました。その結果、昨日出した広告からどの商品が売れたのかを明確にすることが可能になり、改善のための議論の精度も上昇、最終的には売上を伸ばすことに成功しました。弊社では月額数万円で提供していますので、中小・ベンチャー企業の皆様でも、最低限の費用で成果を出すことができます。
──カシカのリリース直後から、セールスは順調だったのでしょうか?
津田カシカ単体でのセールスを開始したのは、ソウルドアウトグループがカンパニー制に移行してDXカンパニーが設立されてからですが、最初の1年間は本当に大変でした。先ほどもお話ししましたとおり、中小・ベンチャー企業の多くは、データの重要性をまだ認識しておらず、営業活動を続けても「データってなんか難しそうだから……」といった反応でなかなか相手にしてもらえませんでした。
大きな契機になったのは「GA4(Google Analytics 4)」という分析ツールの登場です。この最新版のリリースにより、業界全体がデータを重視する方向に流れが変わりました。そこで我々としてもまずは、GA4の初期設定代行をした後にカシカを再提案するなどして、徐々にセールスを伸ばしていきました。
──中元さんはもともと、カシカとは関係のない部署で経営データの可視化に取り組んでいたそうですね。DXカンパニーに参画するまでの経緯を教えてください。
中元私は管理部門でLookerStudio(旧Googleデータポータル)による経営データの可視化に取り組んでおり、以前より「お客様のデータを可視化したい」といった相談には個別に対応していました。2021年の4月にDXカンパニーが立ち上がると同時に異動となって現在に至ります。
──データ分析のスペシャリストから見た、社内における支援の課題を教えてください。
中元社内全体のデータリテラシーをもっと高めていく必要があると感じています。例えば、お客様が期待されるサービスのレベルと目的にお応えするために、データ分析サイドが考えるデータのあるべきかたちとフロントサイドが解釈するデータの定義にズレが生じてしまうと、結果的に当初できると思っていた事が実現できなかったり、求められていたサービスを提供できなくなってしまう事にも繋がります。今後更なるスピード感をもって、お客様の需要にフィットしたサービスを展開していくためにも、社内で前提知識を揃え、サービスの標準化を図っていくことが大切だなと考えています。
──そこは津田さんも感じているところですか?
津田そうですね。データをどう取得するのか? データをどんな構造で取り出すのか? といった話になると、専門知識がないと分からない部分が生じてきます。そんなときは我々が直接お客様とお話をして進めて行くことも可能ですが、より迅速なご支援を実現していくためにも、勉強会等を通じて社内の共通言語を増やしていきたいと思っています。
現在行っているGA4の勉強会の様子(講師は堀川)
Story 03
どんな業種でもデータを重視する流れが確実に来ている
──DXカンパニーの今後の展望を教えてください。
津田まずは、データインテグレーションサービスを更に良くしていくことです。お客様の目的に合わせてデータ環境構築を行い、成果につなげる。ここのサービス強化を目指します。データを持っていないお客様への支援はまだまだ道半ばの状況ですが、今後はそういった企業に対してもデジタルツール活用を通したマーケティング・セールス領域のデータ化を促進して、より多くの企業に対して成果を出していきたいと考えています。
──では、この採用ページを見てソウルドアウトグループへの入社を希望している方へのメッセージをお願いします。
津田データを取り入れる最大のメリットは、営業活動やマーケティングにおける定量的な評価・意思決定を行えることです。データがないと「もっと営業頑張れ」とか「テレアポの数が足りない」とか、気合いと根性だけの話になってしまうんです。そんなときにデータがあれば、母数を増やせばいいのか、成約率の低い原因を見つけて改善する必要があるのか、だいたいの目星をつけることができます。このようにデータと営業活動は強い結びつきがあります。そういった仕事に興味のある方をお待ちしています。
堀川僕も中元も基本的には支援側の人間ですが、社内の業務効率化を手がける中で身につけた知識は、多くのお客様に求められているということが分かってきました。この業界では営業担当者が花形として扱われがちですが、今では支援側の仕事にもスポットライトが当たっていることを感じます。日本全国にある中小・ベンチャー企業に対して、僕たちの価値を発揮できるので大きな自信にもなりますし、とてもやり甲斐のある仕事です。データの見える化に興味のある人は、ぜひ弊社に来て欲しいですね。
中元事業部や管理部門、営業やクリエイティブ職など、どんな分野・職種の仕事であってもデータが重視される流れが確実に来ています。アンドデジタルでは、数字の本質的な解釈、データ分析の方法、指標の定義など、データコンサルティングに必要な基礎的なスキルを身につけるために、普段からチーム内で研修や勉強会を開催しています。業務に必要な数字を理解して扱う事ができるというスキルは、どの分野・職種にも通じる大きな強みになるはずです。